相互理解が不可能なのは、人それぞれ見ている景色が異なるから

我が家では、「料理」の主担当は私(夫)ということになっている。

理由は、単純に私が料理好きだからだ。100%全ての料理を担当しているわけではないが、朝も夜も(昼は家にいない)基本的には私が「料理」を担当している。

さて、この話を聞いて、あなたはどういった感想を持っただろうか?

ネット上などで、夫が料理を担当するという話はそこそこ目にするが、それに対する反応は主に2パターンに分かれる。

  • 1.家事の中で負担の高い料理を夫が担当することには価値があるという肯定的な反応
  • 2.そのくらいで家事をやった気になるなという否定的な反応

1と2は真逆の反応だ。1は肯定的、2は否定的。なぜ、こうも意見が割れてしまうのだろうか。

私は「文章などの情報からイメージする情景が異なるから」だと思っている。

例えば、以下は、私が考える「家事における料理」に必要な作業の一覧だ。

  • 冷蔵庫に入っているものの把握、管理
  • 調味料や乾物などの在庫の把握、管理
  • 足らない食材や調味料などの買い出し
  • 食器の洗浄、乾燥、食器棚への保管
  • シンクの掃除、ゴミ捨て
  • 調理、盛り付け

細かく書けばまだ色々とあるが、大まかに言えばこんな感じだ。全てを完璧にこなせているかと言われると自信は無いが(妻が手伝ってくれることもある)こういったことを日課としている。

しかし、知人の既婚男性の中には、料理を以下のような作業だと思っている人もいる。

  • パスタマシンを購入して、生パスタを作る
  • 国産牛ひき肉を大量に使ったこだわりのボロネーゼを作る

確かにこれも料理なのだが、家事における料理としては極々僅かな一工程でしかない。家事というのは毎日行うものなので、「片づけ・在庫チェック・ゴミの廃棄や必要素材の買い出し」がなければ、次回の料理が成立しない。つまり、彼の考える料理は家事における料理としては成立しない

しかし、彼は「時々料理とかするし、割と家事してる方」と考えている。つまり、私とは家事に対する認識が全く違うということだ。

私と彼の認識が全く違うように、どんなものごとであってもそれぞれが思い描く状況は全く異なる。パスタ野郎の奥さんにとっては、料理をする男性のイメージ=パスタマシンであって、家事とは程遠いものとなるだろう。

冒頭での質問に「2:そのくらいで家事をやった気になるなという否定的な反応」を返してしまう人の多くは、そういった人なのではないだろうか。

昨今のネットでは、様々なことに対して議論が尽きない。議論そのものは悪いことではないが、一方的な決めつけも蔓延している。

私自身も気を付けなければならないと感じているが、自分が受けた印象や想像する状況は、自分だけのものでしかないということを、意識する必要があるのではないだろうか。

なお、冒頭の質問に対する反応が「肯定 or 否定」になってしまいがちな現状に関しては、あまり良い世の中ではないなと感じている。「あなたの担当は食事なんだね」くらいの、「それが普通」という感想を大多数が持つようになった時、本格的な変化が訪れるのだろう。