ふなっしーになりたかった

氷河期サバイバーの雑記

ITエンジニアはコストでしかないからクビ!→会社が苦境に、みたいなのは実際にあります

togetter.com

最終的に求人の宣伝になっているので、「ちょっと盛ったかな」という感じはあるものの、似たような経験をしている私からすると割とある話だと感じました。

ただ、ブクマでは「嘘松」「理系ポルノ」「御伽噺」など、間違いなく嘘と断定するコメントが人気を集めており、全く同じような経験をした私からするとモヤモヤするものがあったので、こういった事象が実際に起こる理由、仕組みについて勝手に解説します。

※以下「ITエンジニア」は「エンジニア」に統一

社長は誰でもなれる

まず、こういった「エンジニアはコストでしかないから全員首!」みたいなことが起きるのは、大抵中小企業です。では、その決断を下す中小企業の社長というのはどういう人間か。

いくつかのパターンに分かれると思いますが、中小企業の社長に多いのは「社長が創業者」であるパターンです。創業者は、前職で営業やコンサルの経験を積んで、十分なコネを作ってから独立したという人が多く、そういった経緯で作られる無名の中小企業の多くは「簡単なサービスを付き合いのある会社に提供」することで利益を上げています。

ということで「コネもあるし、適当に人雇ってホームページとか作るだけでもいくらかにはなるだろ」くらいの感覚で起業する人が意外に沢山います。

そういった社長は、経営能力を評価されて社長になったわけでもなく、自分の販売しているサービスを作るための手間もよく分かっていないため、作り手を全員コストととらえてクビにしてしまうようなトンデモ判断を下してしまうようなことがあります。

システムが完成すると、素人目にはエンジニアが無価値に見えるようになることがある

私自身もITエンジニアの端くれですが、自分の有用さをアピールするのに苦心することが少なからずあります。

例えば、社内SEとして働いていた際、とある部署の数名が作業していた内容を、システム化して半自動化したことがあります。1セット4時間程度の作業が1時間程度になり、手作業の工程を減らすことで人為的ミスも減り、導入直後は大絶賛されていました。彼らは繁忙期になると、残業・徹夜で地獄のような生活を送っていたため、システム化で寝られるようになり、その時は大変感謝されました。

しかし、当たり前になってしまうと、人はそのことに感謝をしなくなる生き物です。導入からわずか1ヶ月で、「俺たちは忙しいのに、エンジニアの人は暇そうで良いすね」みたいなことを言われるようになりました。

システムには保守が必要になります。エンジニアは、フロー変更の準備でパッチを作成したり、更なる効率化のために追加機能の開発を行ったりしていたのですが、出来上がったものを当たり前に使っている人からは、「何も生み出していない」という目で見られるようになっていました。

もちろん、それに対して色々と説明を試みたりもしますが、「わからないことは聞きたくない」「理解しても俺の気分が晴れるわけではない」という態度を取る人は少なくないため、優秀な人が集まりにくい中小企業では、こういった空気が正当化されてしまうことが普通にあります。

そして、そういった空気が正当化されると「エンジニアはさぼってるだけでコストにしかならない」といった意見を言い始める人が現れ、その意見を経営者が好ましいと考えると、コストカットと称して、自主退職に追い込まれる人が出るようになるのです。

エンジニアは売上の責任を取らされることもある

エンジニアはサービス開発を担当することもありますが、そのサービスの内容自体は別の場所で決まることが多いです。「ブログサービス作って」のように、作るものが決まってから依頼が来るということです。

「ブログサービスはもう流行らないだろうから、動画投稿サービス作ろうぜ」みたいな、根底からひっくり返すことが可能な環境が無いとは言いません。ですが、普通は依頼された内容の細部に工夫を入れるくらいで、基本的には依頼された内容通りに作ることになります。

当然、そのサービスが流行ったり、売れたりした場合は、企画者が称賛を集めることになります。サービス開発には「企画に最も大きな価値がある」という考え方があるためです。実際その通りだと思います。しかし、そのサービスが流行らなかったり、売れなかったりした場合、おかしなことになる場合があります。

「企画は良かったのに、出来上がったものが良くなかった」「誰だこんな売れないサービス作ったのは」

企画者は上層部との接触機会が多くなりますが、エンジニアは企画者との接触はあるものの、上層部との接触が皆無だったりもします。企画者が保身のためにエンジニアをスケープゴートに仕立て上げれば、企画者は被害者に、エンジニアは加害者になります。そんなことがまかり通る会社は辞めて正解なのですが、社内政治において、エンジニアは弱い立場に追い込まれるケースが割と多く、なぜか売上の最終責任を取らされるケースがあります。

エンジニアをクビにした会社は困ることになる

上述したような理由で、エンジニアが自主退職に追い込まれたり、クビになったりするケースは少なからずあります。もちろん、それはエンジニアに限らず別の職種でもあることですが、エンジニアの退職には特殊な事情があります。

それは、エンジニアの仕事内容が、エンジニア以外にはよくわからないということです。「営業が辞める=顧客を持っていかれたら困る」というのは誰にでも予想が付きますが、エンジニアが辞めることで何が起こるのかは、エンジニア以外には想像しにくい部分があります。特に、エンジニアをクビにしようと考えるような経営者であれば、エンジニアの仕事は全く理解できていない可能性が高いです。

以前、社内SEとして雇用され、依頼されるままに社内システム開発を行っていたところ、突然現れた社長(普段会社に来ない)から、「お前らは全く売り上げを上げていない!エンジニアならGREEみたいにスマホアプリを作って大儲けさせろ!」とよくわからない罵倒を受け、「企画も無いのに大儲け出来るアプリ作れるなら個人でやるわ」と反論をしたところ、「エンジニアは高いだけで金を生まない!全員辞めろ!」と情シス一同恫喝されたため、「じゃ辞めるわ」と、即退職したことがあります。

それから約1年後、その会社から「以前弊社に勤めていた時のサーバ環境情報を知りませんか?」「〇〇(サービス名)が動かないのですが」といった連絡が届いたことがあります。当然無視しましたが、社内の基幹システムのサーバ情報がどこにあるかわからない、そして動いていないということなので、大変困ったことになったのでしょう。ウケる。

ということで、エンジニアを退職に追い込んだり、クビにすると大変な苦労をすることになる可能性は大いにあります。

ただ、エンジニアだけが簡単に辞めたり、辞めた後に苦労することになるわけではなく、他の職種でも別の面で似たような事情はあるので(営業は引き抜かれやすいとか、独立しやすいとか)、「エンジニアは!」と声高に言うのもどうかとは思った次第です。