ふなっしーになりたかった

氷河期サバイバーの雑記

自称攻略Wikiが作られる理由

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ゲーム攻略Wiki実際に作ったことがあるのでちょっと解説してみる。 なお、元SEO業者側の人間です。

自称攻略Wikiの作り方

まずは作り方から。 作り方を知ると、何で作る人が多いか理由がわかる。

1.ゲームタイトル発表と同時にサイトを制作する

「パズドラ」という単語を、パズドラが発売される前から知っていた人はいるだろうか。 オリジナルのゲームを作っていて、「たまたまタイトルが被っていた」みたいな人が存在しないとは言い切れないが、ほとんどの人は「パズドラ」という単語を知らなかったはずだ。

つまり、パズドラリリース前から、「パズドラ」というキーワードでインターネット検索を行う人はほとんど存在しなかったと言える。 もちろん、「パズドラ」という単語を知らない以上、パズドラのサイトを作っている人もその段階ではいない。

世の中にゲームタイトルが周知されると、そのキーワードで検索を行う人が発生する。 その際、対象のキーワードにマッチするサイトが存在していれば、そのサイトがどれだけ出来の悪いサイトであっても、検索者の意図(この場合は「パズドラを知りたい」と言う意図)に沿っていると判定されるため、検索上位にそのサイトが表示されることになる。

ゲームタイトル発表のタイミングは、ゲームタイトルが世間に知れ渡る最初のタイミング。 その瞬間に対象キーワードを中心としたサイトを作っておけば、中身がどうだろうと検索上位に表示されるのは確実だ。

ということで、攻略Wikiのサイト制作は、ゲームが発売される前の段階で行う

リリース前のスマホゲーなどのタイトルで検索をかけると、大体5~20個くらいの攻略Wiki(中身ほぼ空)がヒットするという事態が生じるのは、これが理由。

2.どうでも良い情報でサイトを埋められるだけ埋める

攻略Wikiは、SEOの都合上、ゲームが発売する前に作られる。 そのため、必然的に、サイトを作ったは良いが中身は空ということになる。

昔は、発売前まではその状態で待機して、発売したら一気にやり込んで情報を載せていくというのが主流だった。しかし、今は大量の業者が入り込んでいるため、そんなことをしていたらあっという間に順位が下がっていくことになる。そこで、誰の役にも立たない、どうでも良い情報でサイトを埋めていくという作業が発生する。

まず、プレスリリースとか、ファミ通がやっている体験レポートとかを拾って、そこにリンクを貼りつつ、ちょっとコメントを入れるだけ、みたいな作業を行う。実際のゲーム画面が拾えたら、そこから推測できる操作説明を書いたり、ゲームシステムの予想を無理やり書いたりする。

情報が無い段階でサイトを充実させる必要があるため、こういう無駄な作業が発生する。

最近の攻略Wikiまとめサイトみたいになっているのは、それが理由。

3.リリースされたらマニュアルを作成する

大抵のゲームには操作説明マニュアルがついているのだが、攻略Wikiにも同じものをひたすら書く。

パズドラだったら「魔法石の買い方!」とか、そんなのWikiで確認するやついるのか...と思えることも頑張って書く。 スクショ、画像加工、解説文、をひたすら頑張る。

スマホゲーには大抵スタミナ的なモノがあるので、それも消化しながら(少しでもゲームを進めながら)マニュアルを作って行く。

4.攻略情報を入れる

ここからは意味のある作業。発売したてのゲームをちゃんと攻略し、どんどん攻略情報を入れていく。カードゲーム系なら、カードのリストも作って入れていく。

やっと意味のある作業が始まったところだが、ここから業者のパクリ合戦が開始される

サイトAが何か情報を上げれば、サイトBがそれをパクリ、サイトCが...というパクリの無限連鎖がスタートする。 真面目にやっていた運営者は馬鹿らしくなって更新を辞め、最初からパクリ目的の業者はパクリ先が潰えた結果、情報が更新されなくなる

Wiki集合知という考え方もあるが、Wikiの管理権限を公開すると、ほぼ確実に競合の業者に妨害される。 そのため、今はWikiという形を取ってはいるものの、運営者が一人で更新していくWikiも珍しくなくなっている。

権限を細かく分け、禁止ワードや監視を徹底し、上手に管理権限を公開して運営している人もいないわけではない。 しかし、業者は会社命令でパクリも妨害も業務として行っているため、個人で立ち向かうのは中々難しい状況にある。

儲かる仕組み

「パズドラ」で完全一致検索をした場合、ヒットするページの件数は 21,300,000件。 「はてなファイターズ」で完全一致検索をした場合、ヒットするページの件数は 1件。

新しい単語(新しいゲームタイトルはこれに当たる)には、ライバルサイトがほとんど存在しない。 そのため、既存のキーワードでSEOを行うよりも、遥かに容易に検索上位を狙うことが出来る。

その上、リリース後は検索ボリュームが激増することが約束されている。 検索ボリュームがあるキーワードで、検索上位が取れたら儲かるのは当たり前。

更に、いまだに「Wiki=複数名で作り上げる有志の情報ソース」と思い込んでいる人も多く、「攻略 Wiki」と言う単語に根強い人気があるため、「新単語(ゲームタイトル)+ 攻略 + Wiki」の期待値はかなり高い。

こういった理由で、攻略Wiki作りには根強い人気がある。

流行った理由、業者が参戦した理由

スマホゲーの大量リリースが原因。

新しい単語(ゲームタイトル)が多く発表されるようになったこと、スマホゲーには課金が存在するため、「魔法石を増やす裏ワザ!」みたいなのでゲン玉(ポイントサイト)とかに誘導すると儲けやすいこと、などが主な理由。 また、ユーザーがゲーマーではないため、広告のクリック率がコンシューマーより高く儲けやすい。

SEOが難しくなったことも理由の一つ。 まともな手法を持っていないWeb系の会社が、やろうと思えば誰でも出来る確実な手法に飛びついた。

攻略Wikiはどうなっていくのか

儲かる仕組みが存在してしまっている以上、業者がそこから手を引く理由はない。 また、レッドオーシャン状態にあるため、かなりダーティーな方法を取る業者が生き残りやすい状態にある。

業者の手法はいくつかあるが、パクリ前提(コストをかけたくないので、自分ではやらない)のところが多く、パクリ元が誕生しなかった場合は、そのまま放棄されるケースが増えている。 結果、まともなWikiがゼロというゲームも多い。

ただ、これは業者だけが理由なのではなく、過度な嫌儲の人達が自ら破壊したという側面もある。 冒頭にリンクを貼った元記事で最後に紹介されていたアズールレーン攻略Wikiだが

こちらの『アズールレーンwiki』のように、昔の雰囲気っぽい攻略wikiが盛り返して検索順位でもトップを奪還することもあるんですけどね。

と書かれているが、こういった「多少の広告を貼っている攻略Wiki」が盛大に荒らされた時期もあった。 そういった、「収益を得ているのであれば、全てを破壊しなければ気が済まない」という人がいる限り、以前の攻略Wiki文化復活は難しいのではないかと思える。 無報酬で荒らしや罵倒、催促コメントに日々対応し続けるなんて、正気の沙汰では無い。

しかしこのWiki、広告とPVを見る限り、非常に潤っていることが予測されるので、羨ましい限りである。