ふなっしーになりたかった

氷河期サバイバーの雑記

控除見直しによる実質子無し世帯増税にいまいち納得できない理由

子無し既婚世帯としてはあまりうれしくないニュースだ。

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とは言え、私はそれなりにノブレス・オブリージュ的なものを大切にしているので、しっかり子育て世帯や貧しい世帯に還元される形(結果、総額の増税になるのではなく、増税された人の分がしっかり還元される形)になるのであれば、このくらいの負担は歓迎したいと考えている。

しかし、この「高収入な会社員世帯を増税」という方向性で話が進んでいることについて、どうにも納得いかない部分がある。

貧富の主要因は収入ではなく資産

今や常識になりつつあるが、日本において貧富を決めるのは収入ではない。資産だ。

比較的課税の緩い証券や、35年ローンが基本となってしまう程高額な不動産など、日本では資産の価値が相対的に高い。

例えば、私の知人には年収800万には及ばない子持ちの夫婦がいる。今回の増税案の対象者ではない。しかし、彼らは都心に高額マンションを所有している。

マンションは親からのプレゼントだ。親は裕福で、生前贈与(年100万まで)で子育て支援も手厚い。家賃がゼロなだけでなく、様々な支援を受けているようだ。

親は存命なので、親が亡くなった際には色々と相続を受けるのだろう。給与が高いとは言えない彼だが、将来の心配は一ミリたりともしていないように見える。

対して、私は実家にいる家族に毎月仕送りを行なっている。実家は借地で資産はほぼゼロ。私自身も賃貸のアパートに住んでいる。

家賃もあれば仕送りもある。親が介護の対象となった際は、介護施設費用のために更にお金を積むことになるだろう。

だが私は前述した彼より収入が高い。増税対象者だ。

私は比較的高収入ではあるが、私の「手取り-家賃-仕送り」の額は、前述した知人の「手取り+贈与」を下回る。月々の収支ですら下回る上、私には相続するものが「借地を返すために更地にするための費用」しかないため、既にマンションを所有し、更に資産を受け継ぐ彼との資産格差は莫大な金額となる。

これは一例ではあるが、私は彼より税金が高く、今後はさらに上がる。高額資産を持ち、働かなくても生きていけるような世帯に対して、一生働き続けなければ生きていけない世帯から所得を移転することが正解なのだろうか。

なお、参考までに東京都のマンション1坪あたりの平均価格は約250万円。1坪約3.3平米なので、10坪でも1LDKか2K程度の広さだ。それが2500万円もする。

月々10万づつためても、現金で払うなら250ヵ月(約21年)。いかに資産の価値が大きいか、よくわかるだろう。

取りやすいところから更に取るという意図が露骨

この話題に対して意見する人であれば、クロヨン(9:6:4)やトーゴーサンピン(10:5:3:1)という言葉は当然知っているだろう。税務署が課税対象として把握している所得の割合を示す言葉だ。業種間の所得捕捉率には大きな差がある。

クロヨン

  • 給与所得者(会社員など):9割
  • 自営業者:6割
  • 農林水産業者:4割

トーゴーサンピン

  • 給与所得者:10割
  • 自営業者:5割
  • 農林水産業者:3割
  • 政治家:1割

今回の話は、基礎控除を増やすことで働き方の多様性に対応し、代わりに会社員の所得控除を削るという話だ。

私は、会社員でありフリーランス(副業)でもある。個人事業では自宅が作業場となっているため、フリーランスの確定申告では自宅の家賃の一部を経費に計上している。他にも、通信費や交通費、物品購入費や接待交際費など、様々な出費が経費として計上できる。

私はフリーランスで得る収入がそこまで高くないため本気で節税は行っていないが(個人か仕事かあいまいなものはすべて自費にしている)、本気で節税を考えればもっと多額の費用を経費として計上することもできる。実際、知人の自営業の某職種の人は、一緒に食事に行くと私が奢ったとしてもレシートを回収していく。全て経費に出来るそうだ。

個人のモラルと、経費にしやすい業種か否かによって大きな差はあるだろう。しかし、私は実感として、多様な働き方の一つであるフリーランスでは、同レベルの収入帯の会社員に比べ、かなり多くの額を経費計上できると実感している。

節税は合法だ。ほぼ全ての法人、個人事業主が行っているだろう。しかし、会社員にはまともな節税手段が、莫大な借金を負うことと引き換えに手に入る住宅ローン減税くらいしかない。

50年以上も言われ続けている「課税対象の所得となる割合が業種間で大きく異なる」という問題を放置しながら、「給与所得控除は高すぎる」と言われても納得は出来ない。

なお、この問題は麻生副総理も認識している。

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氷河期世代から更に毟るのか

これはただの愚痴だ。

私は氷河期世代後期の人間だ。就職は困難で、やっと就職できても、世はブラック全盛期。サービス残業サービス残業を重ね、最低賃金を大幅に下回る時給で働く人たちが大量に発生した。

上がバブル期の人員で埋まっているため昇進は難しく、景気が最悪なので昇給など望むべくもない。賞与は出ないのが普通で、出てもお小遣い程度。業種にもよるが、残業代は「出ないのが普通」の時代だった。

小泉改革で非正規地獄の窯の蓋が空いた時期でもあった。非正規に流れざるを得ない人も多く、まともな給与を手にすることも、まともな経験を積む機会を得ることも難しかった。

結婚も子育ても、今より間違いなく難しかったが、我々には一切の支援が無かった。ロスジェネとも呼ばれ、いまだに「無かったことに」されている。

そんな35歳~40代後半は、ようやく高収入帯に入る人が出始める年代だ。今回の増税ターゲットの800~900万ゾーンにピンポイントでヒットする。

氷河期世代は、若くても35歳以上、もう今更結婚出来ないという人も、年齢的に子供を作るのが難しい人もいるだろう。そんな我々を完全に無視したまま、「子育て世帯には負担がいかないようにするから、お前らはもっと税金払え」と言われて「子供のためならよろこんで!」とは言えない。

氷河期世代で年800万を稼ぐ世帯は、相当に苦労してきた世帯だ。年齢的に子供はあきらめたが、やっと生活が落ち着いたという家庭もあるだろう。失われた20年、全く助けてくれない国をあてにせず、耐えて耐えて少しづつ少しづつ給与を上げてきた我々が、ようやく余裕が出てきたと思ったら富裕層扱いで増税か。

「子供が減れば将来困る」という今の状況に関しては理解するが、そんなのは10年以上前からわかっていたことだ。第二次ベビーブームを作れる可能性があるほど母数がいた氷河期世代を無視しておきながら、今さらそんなことを言われても納得は出来ない。

未来のための投資であれば受け入れるが、感情的には納得できない

色々書いてきたが、私は本当に子育て世帯や貧しい世帯に還元されるのであれば、少々の増税は受け入れたいと思っている。

だが、上述したように

  • 本当の富裕層には増税せず、むしろ減税になる層もいる
  • 取りやすいところを狙って、既得権益は残す(脱税余地の多いところからは取らない)
  • 無策を反省せず、謝罪せず、今まで不遇であった層から徴収する

といった面で、感情的にとてもではないが気持ちよく納税出来ないのは事実だ。

納税には納得感が必要だ。使途を明確に説明し、なぜこの層に負担をお願いするのか説明し、本来取るべき富裕層から取らないことについても、理由があるなら説明する必要がある。その上で、今後納税者が納得して税金を納められるように、出来るだけ公平になるよう、税制を見直していくことを約束してもらわなければ困る。

今の国にはそれが無い。

必要だから増税は止む無し、と一方的に通告する。まるで、子供が無計画にお金を使い果たし、親にお小遣いをねだっているかのように見える。自身の無策が原因で人に負担を求めるにもかかわらず、「仕方ない」という態度なのだからそれ以下かもしれない。

私は、本当に子育て世帯や貧しい世帯に還元されるのであれば、増税には反対ではない。

だが、納得感のある納税が行える体制を作る気がないのであれば、あらゆる増税に反対する。